DP PAPERものがたり
Vol.4
たった一枚の紙、
わたしたちはこれをあえて“道具”と呼ぶ——
いわれも知らぬあまねく先人たちの
知恵とノウハウから培われてきた技術の結晶
“紙PAPER”。
デジタルと仮想空間に
まみれつつある世の中にあっても
生き残る一枚のプロダクト。
薄く、はかないたった一枚の紙も
ひとたび重なり、積み上げられれば
わたしたちの眼前に
その存在感をしっかりと示す。
それはもはや私たち人間と
切っても切れぬ道具であり
これからも残り続ける——
水に加えて、世界各地から集められた木材チップが原料のパルプを使って作られる紙。私たち開発者はもちろん、実際に書く人が求めるリフィルとしての最良な品質を保持するには?と思案と実験を重ねた先に『DP PAPER』が生まれたわけだが、その秘密は木材の種類にもある。
薄くて、丈夫で、滑らかで、裏抜けしにくくて・・・といった欲張りな条件を満たす紙は実は世の中にはそう多くない。そんなわがままな紙づくりは、その繊維が長い針葉樹のパルプ配分を多くすることから始まった。
ただ、これを単純に多くしてしまえというわけにはいかないのが紙づくりのとても難しいところ。少し専門的な話になるが、繊維長が長い針葉樹のパルプは抄紙の前段階である叩解(パルプを粉々にする工程)を経ても、比較的長めの繊維が残る。それを最終材料として抄紙を行うと、繊維同士の絡みが密接になり、丈夫で、さらに滑らかな紙面を作れるというわけだが、繊維同士のつまり具合が密になるため筆記具のインクの適度な浸透が得られず、筆記後もインクが乾きにくくなってしまうのだ。
ここからは、針葉樹はもちろん比較的繊維長が短い広葉樹パルプとの配合バランスをとる試行錯誤の連続。どこを『DP PAPER』の基準とするか、実に細かいテストが続くことになった。薄くて、軽くて、丈夫で、裏抜けしなくて、乾きやすくて・・・そんなシステム手帳のための、書く人のための本物の紙を目指して。
料理と同じように、針葉樹と広葉樹パルプの絶妙な配分から誕生した、現代の紙職人による製紙技術の結晶がこの『DP PAPER』を今も支えている。
つづく