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Feature

PLOTTERが考える
アップサイクルプロダクト
「ロールペンケース」編

急激な世の中の変化が眼前に広がる昨今、環境への配慮が当たり前となったものづくり。SDGsやカーボンニュートラル、トレーサビリティなど、こういった地球全体にまで思考を拡張した言葉の数々を目にしない日はない。誰もが気付いていながらもなかなか行動を起こせなかったことが、人間だけではなく、動物も植物も、地球という惑星レベルにおいても、いよいよ相当な危機感を持って、 何よりも優先すべきわたしたちのTODOのひとつに直結した。

皮革と紙がアイコンマテリアルであるPLOTTERにおいてもそれは間違いなく捨て置けない課題。

皮革が食用肉の加工副産物であることはこれまでもさまざまなメディアを通して伝えてきたつもりだ。それは決して、皮革の生産自体が最大の目的として生まれたものではなく、わたしたち人間が必要な栄養素としてありがたくも命の恵みをいただいている食料・食品を作る際に発生し、場合によってはそのまま捨てられる運命にある端材。そのひとつが皮革と言えよう。したがって、モノがあふれる世界にあって逆に適正量であることがまずは求められるが、皮革という素材は環境配慮の観点で言えばある意味、元祖SDGsだと思う。

生活に不要不急ではない必須なもの(食べ物)づくりから生まれつつも廃棄される運命にあった端材革を再利用して作られる皮革文化の歴史は長い。それだけ機能的であり、人間にも環境にも本来優しい原材料であったからこそ、原始の時代からこの現代に至るまでながらく人に寄り添ってきたものとなり得たのであろう。

新しい技術を開発して、環境問題に対応するテクノロジーを発見することは人間の得意技。ただ、それさえも行き過ぎると進化自体がそもそも環境に負荷を与えていないか?ということにも着目したい。人間は“便利”になるという進化からは逃れられない。一度その味を知ってしまったらなかなか後退はできない。一方で、昔ながらの手法や職人技、素材や工芸の中には、“寄り添う”というキーワードが今もしっかりと秘められているわけで、それらがスローであるがゆえ現代的ではないかもしれないが、例えば温故知新の革づくりにもポジティブな回帰の新解釈を見出したいとも思う。

PLOTTERの「ロールペンケース」はこれを作るためにあらたな革を用意することはしない、という決断のもと生まれた副産物。いや正確に言えば「副産物の副産物」。オーダーソファ(端材革提供元:心石工芸 https://www.sofa-kokoroishi.jp/)の製作過程でどうしても発生してしまう革の端切れだが、狭い面積でレザーステーショナリーを作れるPLOTTERにとっては宝の山。本当の意味で、大切な素材を最後まで使い切るという信念のもと形になったこのペンケースを使うとき、きっと『ほんの少しでも地球に貢献できた』という想いを馳せることができるでは。